それでも好きだった









机の上に置いてあるご飯を食べ、学校に行く仕度を始める。



今日、初めて鏡の前に立つ。


自分の思っていた通り、かなり酷い顔。


昨日泣いた所為もあったし、散々な顔だった。



…情けない。


目の前にいる自分に笑える。



顔を思いっきり洗い、タオルで拭く。


こんなことで、学校を休むわけにはいかない。


頬をパシパシと叩き、気合を入れた。




時計を見るともう余裕がない。




急いで制服に着替え、鍵を閉め家を出る。













「華夜~!おはよう!」


元気で手を振る紗月の姿が見えた。


その瞬間、胸の奥がズキッとした。




「…おはよう」


その痛みを隠すように平然を装う。



「今日はいつも以上に元気ないね」


紗月はすぐに私の様子に気付く。


伊達に長いこと親友をやっていない。



私だって紗月の様子がおかしかったらすぐに気付く。


それだけ積み上げられた親友の絆。


なのに、そんな親友の彼氏を好きになったんだ。


そう思うとまた胸の奥が痛む。















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