それでも好きだった
「そんなことないよ」
そう言って紗月に微笑む。
「…いや、そんなことあるよ!あれでしょ?北山君でしょ!?」
「へ?」
「北山君に告白されたんじゃないの?」
やっぱり気付いていたか。
少し驚いたが、紗月なら勘付くだろうなって思ってた。
「さすが紗月」
「やっぱりね!…で、返事はしたの?」
「…まだしなくていいって言われた」
聡君は私が誰を好きか知っている。
だからまだ言わなくていいと言った。
私がまだ彼を諦めていないと知ったから…。
「そうなんだ…。気まずいね」
確かに聡君とは気まずい。
でも、もっと気まずいと言えば岡田君の方。
昨日、あんな別れ方をしたから気まずい。
そのことを紗月に話せるわけでもなく…。
「紗月はどうだった?」
「あ、デートのこと?いつもと変わらず普通だったよ。前、見に行きたいって言ってた映画に行ったの!」
楽しかったよ!と可愛い笑みを見せる紗月。
別に何かあったわけじゃないらしい。
じゃあ、昨日の彼の様子がおかしかったのは一体なんだったんだろう。