それでも好きだった
ふと顔を上げると一瞬、目が合った気がした。
私はすぐに目を逸らす。
「あぁ…おはよ」
彼も小さい声で言った。
でもお互い変な空気。
紗月は気付いてないみたいだけど、聡君は何かを感じ取ったみたいだった。
私たちは教室まで一緒に行くことになった。
紗月の隣には岡田君。
私の隣には聡君。
紗月と岡田君は何やら話している様子。
私と聡君はお互い黙ったまま。
私たちの状態に気付いたのか紗月が私に話しかけてきた。
「そういえば、もうすぐ夏休みだね」
紗月なりに私の事を気にかけてくれているみたい。
「そうだね」
「またみんなで遊びに行こうよ!」
紗月は嬉しそうに言った。
紗月以外は気まずそうな顔をしている。
私は彼女に心配をかけまいと、紗月の頭を撫で、そうだねと言った。