それでも好きだった
私たちも教室に着き、岡田君たちと別れる。
「また帰りね!」
「おう」
紗月と岡田君はじゃあねと言って手を振っていた。
私は黙って教室に入ろうとした。
そしたら急に腕を掴まれた。
私はバッと振り返る。
私の腕を掴んでいたのは、聡君だった。
「…昼休み、屋上に来て」
そう言って手を離し、聡君は自分の教室に向かって歩き出した。
私はそんな彼の背中をずっと見ていた。
掴まれていた腕は少し赤くなっていた。
その様子を岡田君がじっと見ていたことも、その岡田君を紗月が見ていたことも私は知らなかった。