それでも好きだった
「華夜がそんな質問してくるなんて…」
私は黙ったままだった。
誰かは言えない。
それだけはどうしても言えない。
これを相談するのは紗月以外が本当はいいんだろうけど、こんなことを話せるのは紗月しかいない。
昔から、悩み事は紗月に言っていた。
紗月に言うと解決する気がした。
実際これまでに助けられた。
この高校に入るのだって、かなり悩んだ。
その時も、隣にいたのは紗月だった。
だから自然と紗月に話してしまう。
「…私はね、ダメだって言えない」
“言えない”ってどういう事なんだろう。
私は顔を上げ紗月を見た。
「私も同じようなことを悩んだ時期があったんだ」
遠くを見るように言った紗月。
「どれが正しいかなんてやってみなきゃ分からないじゃん。だから私は付き合ったよ」