それでも好きだった
私がそう言った瞬間、聡君は私を抱きしめた。
「…それは、俺と付き合ってくれるって事でいいんだよね?」
私は彼の腕の中で頷く。
私は決めたんだ。
聡君と付き合うことを…。
「あいつを忘れるのは少しずつでいい。俺、頑張るからさ」
そう言って腕の力を緩め、ニカッと笑った。
聡君が頑張ることじゃない。
頑張るのは私のほうだ。
聡君を選んだ以上、私は彼を…岡田君を忘れる。
優しい聡君の笑顔を失うわけにはいかない。
「私も頑張るから…」
そして、聡君を好きになれるように…。
今は利用しているだけなのかもしれないけど、絶対に彼を好きになる。
好きになれると思う。
聡君でいっぱいにするんだ。
「よろしくね、華夜ちゃん」
「うん」
私たちは抱きしめ合った。