それでも好きだった
「夏休みはダブルデートができるじゃん!」
一人でテンションが上がっている紗月。
なんだかんだでいつもの四人は定着してしまった。
離れていたら忘れることが出来るかもしれないけど、いつも“彼”は近くにいる。
本当にこの気持ちは消えてくれるのだろうか。
…そんなの自分次第か。
その後、ずっと質問攻めだった。
どこが好きなの?とか、何って言ったの?だとか、答えづらい質問ばかりですごく困った。
でも紗月は今日、屋上で話したことには触れてこなかった。
彼女なりに分かっているのだろうか。
だとしたら、ありがたい。
今の私はどうやって答えればいいか分からないから…。
話が盛り上がってしまい、今日は泊まることになった。
寝る前に紗月が、
「明日楽しみだねぇ」
と嬉しそうに笑っていた。
紗月はすぐに寝てしまったけど、私はいまだ眠れないでいる。
紗月は楽しみだと言っていたが、私はそうじゃなかった。
よく考えると私にとって聡君は初カレなのだ。
どういう態度で接すればいいか分からない。
きっとギクシャクすると思う。
問題は岡田君だ。
あの日以来、異様な空気になる。
正直、今はそれでもいいと思っている。
忘れるきっかけになるかもしれない。
なるべく彼の事を考えないようにしないと…。
私を好きだと言ってくれた聡君のためにも…。