それでも好きだった









「夏休みはダブルデートができるじゃん!」


一人でテンションが上がっている紗月。



なんだかんだでいつもの四人は定着してしまった。


離れていたら忘れることが出来るかもしれないけど、いつも“彼”は近くにいる。


本当にこの気持ちは消えてくれるのだろうか。



…そんなの自分次第か。





その後、ずっと質問攻めだった。


どこが好きなの?とか、何って言ったの?だとか、答えづらい質問ばかりですごく困った。



でも紗月は今日、屋上で話したことには触れてこなかった。


彼女なりに分かっているのだろうか。


だとしたら、ありがたい。


今の私はどうやって答えればいいか分からないから…。






話が盛り上がってしまい、今日は泊まることになった。



寝る前に紗月が、

「明日楽しみだねぇ」

と嬉しそうに笑っていた。



紗月はすぐに寝てしまったけど、私はいまだ眠れないでいる。



紗月は楽しみだと言っていたが、私はそうじゃなかった。


よく考えると私にとって聡君は初カレなのだ。


どういう態度で接すればいいか分からない。


きっとギクシャクすると思う。



問題は岡田君だ。


あの日以来、異様な空気になる。


正直、今はそれでもいいと思っている。


忘れるきっかけになるかもしれない。


なるべく彼の事を考えないようにしないと…。




私を好きだと言ってくれた聡君のためにも…。















< 133 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop