それでも好きだった
岡田君はすぐに前を向き、歩き出した。
「ちょっと待ってよ~」
紗月が叫びながら岡田君を追う。
私はそんな二人の背中を見ていた。
「…行こうか」
そう言って微笑みかけてくれた聡君。
私は頷き、彼らを追った。
いつもと変わらないはずなのにどこか違う。
こうやって四人で学校へ行くのも最近の日課になってきたけど、今日はちょっと違うんだ。
私の隣は“友達”の聡君じゃなくて“彼氏”の聡君。
前を歩く岡田君は、“好きな人”じゃなくて“好きだった人”…紗月の彼氏。
それだけで私の意識が変わる。
そういえば、岡田君は私たちが付き合っていることを知っているのだろうか。
聡君から聞いたりしたのかな…。
なんか…複雑。