それでも好きだった
「ありがとうね、紗月」
「でも、応援してるからね!」
そう言ってまた抱きしめてくる。
女の私から見ても可愛いと思う紗月。
私はどちらかと言うとクールだし、紗月みたいに可愛い仕草とか出来ない。
恋がしたいからって、好きな人が出来たからって、変わろうとは思わない。
この性格がダメなのかもしれないけど、自分の考えを変えようとは思わない。
私は私なりに生きるだけ。
だからもし、彼に一生会えなくてもいい。
ただ、好きになれただけで私は第一歩進めたのだから。
それを教えてくれたのが彼だってことも一生忘れない。
ぐずぐずしたって意味がない。
どうせなら前に進まないと。
それに高校生になったら、彼以上の人に出会えるかもしれない。
一瞬でも彼を好きになったことには変わりない。
私はそれで十分だ。
彼には感謝してる。
だから…それまでは静かに心の中だけの片想いをさせてほしい。