それでも好きだった
「楽しみだね!」
隣にいた聡君が私の頭を撫でながら言った。
その行動に慣れていない私は照れる。
「アツアツじゃん!」
紗月が私たちを冷やかしてくる。
そういう恥ずかしい事は言わないでもらいたい。
私はさっきから黙っている岡田君をチラッと見た。
その表情に驚く。
なんとも言えない顔。
何か耐えているような感じ。
その顔には覚えがあった。
自分もよくそんな顔をしていたからだ。
どうしてそんな顔をしているんだろう。
少しドキッとする。
もしかして…なんてアホな事を考えてしまった。
その考えを消し、私は少し緊張しながら岡田君に話しかけた。
「…どうかした?」
私の後ろでは紗月と聡君が盛り上がっていた。
そんな二人はほっといて岡田君を見る。