それでも好きだった











その日の帰り。



私は聡君と途中まで一緒に帰り、おばあちゃん家に寄った。


ここに来たのはおばあちゃんに報告するため。





「今日はどうしたんだい?」


いつものようにお茶を出してくれる。



一口飲み、おばあちゃんを見る。


「あのさ、付き合うことになったんだ」



私がそう言うとおばあちゃんは喜んでくれた。


「よかったね~」



私の大好きな笑顔で言ってくれた。


でもその表情は変わった。




「でも…あまり嬉しそうじゃないね」


おばあちゃんは私の目をじっと見て言った。


「そ、そんなことないけど…」


少し痛いところを突かれた。






嬉しくないわけじゃない。


初めて男の人と付き合うのだから嬉しいに決まってる。



でもどこか物足りないのは多分…。



「華夜が決めたことなら何も言わないよ」


そう言っておばあちゃんは微笑みかけてくれた。















< 144 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop