それでも好きだった
その日の帰り。
私は聡君と途中まで一緒に帰り、おばあちゃん家に寄った。
ここに来たのはおばあちゃんに報告するため。
「今日はどうしたんだい?」
いつものようにお茶を出してくれる。
一口飲み、おばあちゃんを見る。
「あのさ、付き合うことになったんだ」
私がそう言うとおばあちゃんは喜んでくれた。
「よかったね~」
私の大好きな笑顔で言ってくれた。
でもその表情は変わった。
「でも…あまり嬉しそうじゃないね」
おばあちゃんは私の目をじっと見て言った。
「そ、そんなことないけど…」
少し痛いところを突かれた。
嬉しくないわけじゃない。
初めて男の人と付き合うのだから嬉しいに決まってる。
でもどこか物足りないのは多分…。
「華夜が決めたことなら何も言わないよ」
そう言っておばあちゃんは微笑みかけてくれた。