それでも好きだった
「でも、無理はしちゃいかんよ」
おばあちゃんは私の手を握った。
「いつでもばあちゃんは聞くからね」
紗月と同じ事を言ってくれるおばあちゃん。
私はおばあちゃんや紗月が居てくれてどれだけ助けられているか。
詳しく内容も話していないのに、何も言わないでくれる。
私はおばあちゃんの手を握り返し、
「ありがとう」
と言って微笑んだ。
そしてその日はいつも会う彼とは会わなかった。
いつも偶然と言うか運命的に会っていたが今日は会わなかった。
少し期待していた自分。
そう思っている自分はまだ完全に彼から抜け出せないでいた。
聡君がいるのに、そう簡単に私の心は変わろうとはしなかった。
そして待ちに待った夏休みが始まった。
私たちは知らなかった。
人を自然と傷つける事、突き刺さる胸の痛み、愛しい想い、そして…友への想い。
いろんな感情がぶつかり合うことをこのときはまだ何も知らない。