それでも好きだった
受験と卒業と
やっとこの日が来た。
これまで勉強してきたことを発揮する場所が…。
受かる自信はあまりないけど、やるだけのことはやった。
「華夜…絶対に受かろうね!」
「うん!」
紗月と交わした約束。
今、一番叶えたい約束。
テスト用紙が配られてきた。
配られてきたテスト用紙をじっと見る。
「始め!」
その合図と同時に一斉にテスト用紙をめくる。
この日のためにいろんなことを我慢してきた。
欲しい漫画も見たいテレビもすべて我慢した。
このたった一枚のテスト用紙のために…。
ここで受からないとこれまでの苦労も水の泡だ。
私はテスト用紙に食い付いていった。
カリカリと書く音が聞こえる。
ここにいる人全員がライバル。
この中の何人かは悲しい思いをし、残りの人たちは嬉しい思いをする。
私も受かって、紗月と喜び合いたい。
頭をフル回転させて必死に問題を解いていった。