それでも好きだった










後から聡君たちも来て、みんなで泳いだり、ビーチボールで遊んだりした。


私は少し疲れたので海から上がり、パラソルの下で休むことにした。


海では紗月たちが楽しく遊んでいた。



そんな三人を見ていたら、

「…木下?」

誰かに声をかけられた。



振り返ると、三人の男子がいた。


そのうちの一人が私のほうに近付いてきた。



その男の子にはなんとなく見覚えがあった。






…誰だったっけ?


そう考えているとその男の子はすでに私の目の前まで来ていた。





「木下…だよな?俺、中島隼人。覚えてねぇか?」

「…あ」



名前を聞いてやっと思い出した。



「サッカー部の…」

「そうそう!よかった、覚えてくれてて」


あの日、紗月があんな話をしなかったらきっと忘れていたであろう。


そんなことは言えず、相変わらずの中島君はあの頃より少し背が伸びているように思えた。























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