それでも好きだった
少し歩いてから岡田君は掴んでいた手を離した。
少し赤くなっていた私の腕。
そこを擦りながら彼に言う。
「…紗月たちは?」
さっきから見あたらない。
一体どこで何をしているのか。
「カキ氷買いに行った」
岡田君は私を見ようとはしなかった。
彼の考えが分からない。
少しの沈黙の後、彼が静かに口を開いた。
「…さっきの奴、誰?」
さっきのって…中島君?
それを聞いてどうなる。
「中学の時の同級生」
間違ったことは言ってない。
告白はされたが中島君とは何もない。
「もう少し危機感もてよ」
岡田君はそう言って私を見た。
ちゃんと目が合った。
それだけで私の胸は高鳴る。