それでも好きだった
いつもそう。
ダメだと思っていても、ドキドキしてしまう私の心。
一瞬だけ、聡君を忘れてしまう。
私は最低だ。
「ただ話してただけなのに?」
その想いを隠すように普通振舞う。
「…何もわかってねぇな」
「は?」
「何でもねえよ」
本当に何を考えているのだろうか。
彼はこんなにも分からない人だっただろうか。
まぁ何も知らない私が言えた事じゃないけど…。
ふと思い出した事を彼に言った。
「あまり、ああいう事言わないほうがいいと思う」
「ああいう事?」
私の頭に響いていた彼の言葉。
何を想って言ったのかは分からない。
でも、その言葉に揺らぐ弱い自分の心が嫌だった。