それでも好きだった
どうしてか、聞いちゃいけないような気がする。
聞いてしまったら何かが崩れるような感じがした。
怖くて聞けない。
紗月自身、話そうとしない。
なおさら気にはなる。
その原因が自分なのかそれとも別のものなのか、それすら分からないのだ。
でも、親友として彼女の力になりたいと思っている。
紗月は私を助けてくれた。
悩んでいると何でも聞いてくれた。
まだ話せていないことだってある。
それも黙って聞いてこない。
それが紗月の優しさなんだって分かっている。
本当に彼女は優しいから…。
宿題をしながらそんな事を考えていた。
窓の外からはセミの鳴き声が聞こえてくる。
冷蔵庫からアイスを取り出し、クーラーの付いた自室で食べる。
青春をしていない引き篭もりのようだ。