それでも好きだった











どうしてか、聞いちゃいけないような気がする。


聞いてしまったら何かが崩れるような感じがした。


怖くて聞けない。




紗月自身、話そうとしない。


なおさら気にはなる。



その原因が自分なのかそれとも別のものなのか、それすら分からないのだ。



でも、親友として彼女の力になりたいと思っている。


紗月は私を助けてくれた。


悩んでいると何でも聞いてくれた。



まだ話せていないことだってある。


それも黙って聞いてこない。



それが紗月の優しさなんだって分かっている。


本当に彼女は優しいから…。







宿題をしながらそんな事を考えていた。



窓の外からはセミの鳴き声が聞こえてくる。




冷蔵庫からアイスを取り出し、クーラーの付いた自室で食べる。



青春をしていない引き篭もりのようだ。





















< 163 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop