それでも好きだった
ピンポーン
家のチャイムが鳴り、玄関に向かう。
ドアを開けるとラフな格好をした紗月が立っていた。
「おじゃましま~す」
その声を聞くといつもどおりの紗月だった。
だから少し安心した。
「お茶持ってくるから部屋に居て」
「うん!」
紗月は慣れたように階段を上っていく。
私はお茶とお菓子を用意し、自分の部屋に向かった。
部屋に入ると、紗月がそこらに置いてあった雑誌を読んでいた。
「どうぞ」
「ありがとう!」
いただきま~す、と言ってお茶を飲む紗月。
「宿題してたの?」
「まぁね」
「よくやるね~」
「そんなことないし」
いつもと変わらない。
さっきまでの考えが馬鹿らしくなってきた。