それでも好きだった
ある日、いつものように家でのんびりしていたら聡君から電話がかかってきた。
《明日、何か用事ある?》
電話に出た瞬間、聡君が聞いてきた。
少し驚いたが、聡君の質問の内容に答えた。
「何もないけど」
《じゃあ明日映画見に行かない?》
どうやら聡君の話では友達からチケットをもらったらしく、暇だし行かないかということだった。
「別にいいけど、私も話したいことがある」
《…わかった。じゃあ明日の10時に駅前で》
「うん」
ケータイを切り、私は考えた。
これを機会に聡君に伝えなくてはならない。
素直な気持ちを……。
私を嫌ってくれてもかまわない。
軽蔑してくれてもかまわない。
それだけの覚悟はあるんだ。
もう…逃げないって決めたんだ。