それでも好きだった
「んで、聞いてた?」
「聞いてなかった」
はぁ~とため息をつく弟。
だから考え事してたんだって!
それより…。
「何勝手に部屋に入ってきてるわけ?」
今さらだけど、よく考えたらここは私の部屋。
堂々と入ってるし…。
「ノックしたのに返事しねぇから」
勝手に入ってのか。
相変わらずだな。
「それで何?」
「母さんから伝言」
そう言って一枚の紙を渡してきた。
そこにはお母さんの字で、
『お父さんと旅行に行ってきます。颯太と二人でおばあちゃんのところに行ってください。母より』
と書いてあった。