それでも好きだった
「姉ちゃん、降りねぇの?」
「降りる」
弟の声で駅に着いたのを知り、荷物を持ち電車から降りる。
弟は相変わらず痛い目で私を見てくるがそんなの気にしてない。
今の私は無敵だと思っている。
「ばあちゃ~ん。来たぞ!」
弟は大きな声で叫び、靴を脱ぎ居間に直行していった。
おばあちゃんの家の匂いは落ち着く。
気持ちが楽になる。
「おや、颯太。久しぶりだね。また大きくなったね」
「俺、成長期だからね」
楽しそうに話しているおばあちゃんと弟。
最近、部活で忙しい弟はなかなかおばあちゃんの家に来れなかった。
本当に1年ぶりってくらいの久しぶりなんじゃないかな。