それでも好きだった
真っ直ぐ私の目を見て言った。
彼は今なんて言った?
私が…好き?
そんなわけないじゃん。
だって彼は…。
「でも、紗月が…」
「アイツとは別れたよ」
…何を言ってるの?
「俺はずっと華夜が好きだったんだ」
そう言ってまた強く私を抱きしめた。
…こんなことってあるの?
話についていけない。
紗月と別れたとか、私が好きだとか、何なのか分からない。
「俺は中学校のときから好きだったんだ。駅で何回か見るようになって。いつの間にか好きになってたんだ」
私を抱きしめたまま話す彼。
どういった表情をしているかは分からない。
でも抱きしめる腕は強かった。
「どこの誰だか分からなかった。そんなときに出会ったのが紗月だった。忘れるために付き合った。そんなときに初めて華夜と話すようになって、しかも紗月の親友って知って、まぢで驚いた」
私と似ている。
しかもこの話、いつかに話してくれた紗月の知り合いと同じ。
あれは岡田君のことだったの?