それでも好きだった
空はいつの間にか全体がオレンジ色になっていた。
彼の顔がオレンジ色に輝いていた。
改めて、イケメンだなって思った。
ようやく電車が到着。
あっという間の時間だった。
それでも十分だった。
会えただけでよかった。
聞きたい事はいっぱいあるのに、全然聞けない。
まだ名前も知らないのに…。
「よくこっちには来るのか?」
「おばあちゃんの家がこっちだから…」
「そっか…。じゃあまた会えるかもな!」
俺の家、こっちなんだよね!と付け加えた彼。
そうだったんだ。
だからよく会うのか。
会えるかもって少しは期待していいのだろうか。
恋愛の事なんてよく分からないから、素直に受け止めるよ。
「また…、待ってくれたの?」
「ん?まぁな!華夜と話したかったのもあるけどな」
ほら、期待するようなことばかり…。
「ありがとう」
「どういたしまして!」
じゃあな!と言って彼は行ってしまった。