それでも好きだった
嬉しそうに話している紗月。
どうして…。
知らなかったとはいえ、親友の彼氏を好きなってしまうなんて…。
「華夜、紹介するね!彼氏の岡田翔。かっこいいでしょ!?」
うん、知ってるよ。
名前は今分かったけど、かっこいいことは分かってる。
「翔!こっちが私の大親友の木下華夜!」
「…え、木下華夜って…」
不意に目が合ってしまった。
彼も相当、驚いている様子。
私は驚く以上に、親友に対して罪悪感がいっぱいだった。
ずっとお互い、黙って見つめ合っていた。
「…“初めまして”」
「…どうも」
彼も空気を読んだのか、深くは言ってこなかった。