それでも好きだった
教室に着き、席を調べる。
私と紗月の席は少し遠かった。
私は教室の一番奥。
窓側で最高にいい場所。
紗月は教室の真ん中の席。
「離れちゃったね…」
しゅんとした紗月が可愛かった。
中学校のときはほとんど近かったからなぁ。
私も変な感じがする。
「なんか、翔の様子がおかしかった!」
「…なんで?」
「黙っちゃうしさぁ…」
ブツブツ言っている紗月。
相変わらず鋭い。
自分の彼女の親友が私だっただなんて驚くに決まってるし、黙っちゃう彼の気持ちも分かる。
実際、私もそうだったしね。
「そうなんだ…でも、お似合いじゃんか」
これは本当に思ったこと。
お世辞じゃない。
でも、認めてしまう自分がなんか嫌だった。