それでも好きだった
入学式も終わり、これから一緒に学校生活を送るB組の子達との自己紹介も済ませ、今日はもう帰るだけ。
早めの帰りで、私はおばあちゃん家に寄ろうと思った。
それを紗月に言ったら、
「私は翔と帰るから大丈夫だよ!」
バイバイ!と言って彼氏のところまで行った。
なんともいえない気持ち。
考えるのはやめよう。
考えるから気になってしょうがないんだ。
私も学校から出る。
前のほうに見える紗月たちの姿。
背中を見ることしか出来ない。
追いかけて話しかけることも出来ない。
それに…もう、向こうから話しかけて来ないかもしれない。
そう思うと寂しかった。
幸せそうに彼の腕を組んでいる紗月。
その姿は可愛いと思う。
でも、すぐに目を逸らしてしまう。