それでも好きだった
トクン
今までに感じたことのない鼓動。
急に胸が熱くなった。
「また会えたらいいな!」
そう言って彼は反対側の電車の中に入り、手を振ってくれた。
私も手を振り返し、電車は発車してしまった。
もう二度とあんなかっこいい人には会えないだろう。
名前も知らない彼。
“また”と言ってくれた彼。
“また”なんてないと思う。
どこの誰かも分からないのに、そう簡単に会える分けないし…。
それでも嬉しかったのは事実。
私はルンルン気分でおばあちゃん家に向かった。