それでも好きだった
「…じゃあ言葉に甘えさせてもらうね!」
翔もいい?と隣に居る彼に言う紗月。
彼は私を見ていた。
「いや、俺がいない方がいいんじゃないのか?」
貴方がいないと意味ないんですよ。
紗月も同じ事を彼に言っていた。
乙女心を分かってないんだろうか。
年頃の女の子はやっぱり彼氏といたいもんなんだ。
それなのに邪魔になってる私が身を引かないでどうするんだって話。
彼が引き下がる必要はない。
「…岡田君は紗月と一緒に行ってあげて」
私は彼のことを岡田君と呼ぶようにした。
これが普通の呼び方。
初めて彼をそう呼んだから、彼自身驚いていた。