それでも好きだった
近くで見たのは今日が初めてで、顔をじっと見てしまった。
クセのある髪で女受けがよさそうな感じの男の子だった。
「大丈夫…」
私はすぐに目を逸らしてそう言った。
「貸して!」
その人は私からゴミ袋を取り、持ってくれた。
「どうも…」
「いいえ!」
私はその人の後ろについて行った。
わざわざ持ってくれるなんて、いい人だな。
「俺、北山聡!」
「あ…木下華夜」
「うん。知ってるよ」
あれかな。
岡田君に聞いたのかな。
「あの時、手振ってくれたよな」
「あ…うん」
「翔とはどんな関係?」
この人は知らないのだろうか。
仲がいいから知ってるのかと思ったのに。