それでも好きだった
「北山聡って言うんだってさ」
私が北山君の名前を教えてあげた。
あと、岡田君の親友だって事も…。
「そうだったんだ!でもなんで華夜と?」
「掃除、手伝ってくれた」
「へぇーいい人だね!」
うん。
それは思った。
初対面の人を助けてくれるなんて、心の広い人だと思った。
「だから言ったでしょ?華夜はモテるって!」
だからって何が?
どこからその話が出てきたんだろう。
「意味分からない」
「華夜の鈍感!」
紗月には言われたくない。
隣でブツブツ言ってる紗月はほっといて、教室に入ろうとした。
「あ、木下さん。またね!」
そう言って北山君は手を振ってくれた。
私は軽くお辞儀をして、教室に入って行った。
岡田君がずっとこっちを見ていたなんて知らないで…。