それでも好きだった
彼は走って私のところまで来てくれた。
「今朝はどうも!」
「どうも…」
そっけない私。
だって急に声をかけられてどうしたらいいかわからない。
それでもすこし嬉しいと思ってしまう。
「電車待ち?」
「はい」
「あはは!敬語じゃなくていいんだけど。見た目、同い年くらいなんだしさ!」
朝に見た無邪気な笑顔。
本当にこの人かっこいいな。
「あんた何年生?」
「中3」
「まぢで!俺と同い年じゃん!」
今思ったこと。
もう会えないと思っていた彼と、普通に会話をしている。
しかも、こんな冷たい私に普通に話しかけてくれる。
心が自然と温かくなった。