それでも好きだった
急に声をかけられ、上を向いていた顔を前に向けた。
…なんでいつも会ってしまうんだろう。
なんでいつもいるんだろう。
正直、怖いくらいなんだけど…。
「…そっちこそ」
声をかけてきたのは、紛れもなく彼、岡田君だった。
「…またばあちゃんのとこ?」
「まぁ…」
周りは静かで二人の声が響く。
「いつもの駅と方向違うけど」
「…途中まで歩いて帰ることにした」
彼は驚いていた…かと思えば、急に笑い出して言った。
「ホント、面白い奴だな!」
今のどこが面白かったんだろう?
彼は笑いながら、私に近付いてきた。
「途中まで送ってやるよ」
「いや、いいよ。夜遅いし…」
「女が心配してんじゃねーよ。危ねぇだろ?」
そう言って前を歩く彼。
つい微笑んでしまう私。