それでも好きだった
私は彼の服の裾を掴んだ。
「ん?」
それに気付いた彼。
「…ありがとう」
柄にもないことをしてしまったが、わざわざ送ってくれるのだから、お礼くらい…ね。
「……」
何故か黙っている彼が気になり、どうしたのかと聞いた。
「…あんたってたまにズルイよな」
「は?」
何がズルイんだ?
彼の言ってる事が分からない私は、頭に“?”がいっぱい。
そんな私を見て、なんでもない。と言った彼は再び歩き出した。
私も黙って彼の後ろを歩く。
これと言って会話もない。
それでも私にとっては幸せな時間だった。
なんで彼は私に優しくしてくれるんだろう。
私だけじゃないかもしれないけど…。
こんな私に優しくしてくれる彼に、私はまた恋に堕ちていく。