それでも好きだった
お化け屋敷には四人で入ることになった。
やっぱり、怖いと言い出した紗月のために…。
無理に行かなくていいのに、よく分からないけど、どうしても行きたいらしい。
お化け屋敷の中は薄暗く、どこの何があるか多分分かるような感じだった。
「翔~。怖いよー」
「お前が行きたいって言い出したんだろ」
「だってー!」
隣ぐらいから聞こえてくる二人の会話。
涙ぐんだ声を出して叫ぶ紗月に、少し呆れたように言った岡田君。
「華夜ちゃんは大丈夫?」
聡君が私を心配して声をかけてくれた。
「まぁ…なんとかね」
全然大丈夫!ってわけでもなくて、今はまだ冷静に居られるけど、出てきたりしたらどうなるか分からない。
作り物だと分かっていても、すこし怖かったりする。
でも、人に頼ったりするのは苦手で、必死でそれを隠し通す。