それでも好きだった
「華夜ちゃん!」
聡君に呼ばれた声で我に返った私。
みんなが心配してこっちを見ていた。
相当、考え込んでいたらしい。
何回か呼んでくれていたらしいけど、まったく反応しないもんだから、みんな心配してくれていたみたい。
「大丈夫?」
「華夜、放心状態みたいだったよ!」
「…大丈夫。ちょっとボーッとしてただけだから」
私がそう言うと、岡田君がブッと笑い出した。
「お化け屋敷に居るのに、呑気だな」
初めてだった。
彼がみんなの前で私に向かって笑ってくれたのは…。
二人っきりのときによく見る笑顔。
この笑顔が見れただけで、さっきまで考えていたことがどうでもよくなった。