それでも好きだった
その後も、オバケが次々と出てきて、今度は紗月が放心状態になっていた。
だから無理しないほうがいいって言ったのに…。
前のほうから光が見え、ようやく出口。
紗月と岡田君が先に出て、その後に続くように私も出ようとした。
「華夜ちゃん」
出口の前で聡君が私を呼んだ。
表情はどこか真剣で…悲しそうだった。
「何?」
「…なんでもない」
呼び止めておきながら、なんでもないって…。
聡君は私を抜き、出口を出て行った。
本当は何が言いたかったんだろう。
少々、気になりつつも私は出口を出た。