それでも好きだった
「集合時間まであと少しあるな」
さっきの真剣な顔とはウラハラに、いつも聡君に戻っていた。
「ん~…あ!!」
少し聡君を気にかけながら、話を聞いていると、紗月が何かを思いついたように叫んだ。
さっきまで放心状態だったのに、急に元気になった紗月を見ると、つい笑いそうになる。
「大事なものに乗ってないじゃん!」
大事なものって何だ?
ほとんどの乗り物には乗ったはずなんだけど…ってか大事なのに忘れてたんだ。
私は心の中で紗月にツッコミを入れた。
「あれに乗ってないよ!」
そう言って指を指したのは、大きな観覧車だった。
大事かどうかはさておき、まだ乗っていなかった観覧車。
まだ時間はあるし、最後の締めにはもってこいだ。