それでも好きだった
「華夜ちゃん!」
「…聡君」
「今日はよくボーッとしてるよね」
私は聡君と二人で観覧車に乗っていた。
二人を待っているのも退屈だから、聡君に連れられて乗ることにした。
なのに私一人で自分の世界に入ってしまって聡君をほったらかしにしていた。
「ごめん…」
「…何かあった?」
シーンとした空気の中、向かい合わせに座っている私たち。
楽しかったはずの遠足を台無しにしているみたい。
いつも心配してくれる聡君。
でも、この悩みは誰にも相談できない。
自分で解決しなくてはならない問題。
だから、なんでもない…と言うしかできなかった。
「…翔の事だろ」