それでも好きだった
「…いつから?」
「手を振ってくれたあの日」
なんで?
ただ手を振っただけで、私は聡君のことを知らなかったし、彼の親友なのかなってぐらいだったのに、聡君はどこで好きだと思ったんだろう。
「…手を振った後に見た華夜ちゃんの笑顔に見入っちゃって、可愛いって思ったんだ」
可愛い?
誰かと間違ってる…ってわけじゃないよね。
彼の目は嘘をついているようには見えなかった。
「でも…」
「翔は、紗月ちゃんの彼氏だよ?」
うん、知ってる。
「好きになっても報われない」
分かってるから困ってるんだよ。
ずっと悩んだりなんかしない。
こんなにも苦しい思いだってしない。
でも…それでも好きになっていく。