それでも好きだった












「…いつから?」

「手を振ってくれたあの日」




なんで?


ただ手を振っただけで、私は聡君のことを知らなかったし、彼の親友なのかなってぐらいだったのに、聡君はどこで好きだと思ったんだろう。





「…手を振った後に見た華夜ちゃんの笑顔に見入っちゃって、可愛いって思ったんだ」



可愛い?



誰かと間違ってる…ってわけじゃないよね。


彼の目は嘘をついているようには見えなかった。






「でも…」

「翔は、紗月ちゃんの彼氏だよ?」



うん、知ってる。




「好きになっても報われない」



分かってるから困ってるんだよ。


ずっと悩んだりなんかしない。


こんなにも苦しい思いだってしない。





でも…それでも好きになっていく。












< 96 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop