愛しいキミへ



「ホームルーム終了。」



やっちゃんはホームルームを終わらせ、教室を出ていった。






―その日の放課後―



バスケ部練習中


ボンッ、ボンッ、ボンッ


ドリブルの音が、体育館に響く。


椎凪はマネージャーの仕事をしている。



「はぁ…」



椎凪とは、朝以来まだ話せてない。

思わずため息が出る。



「おーい、どうした?」


「昴先輩…」


「何か悩み事?」


「まあ、そんな感じっすかね。」



壁にもたれ掛かってた俺の横に、昴先輩は座った。



「俺で良ければ、相談のるけど…」



昴先輩が相談に……


有り難いけど、



「大丈夫です。ありがとうございます。」



俺の相談にのってもらったら、椎凪の事件のことまで話さなきゃいけなくなる。


それだけは避けたい。



「なあ、隼人。」


「何ですか?」


「お前が悩んでるのってさ。渚が退学した事と、何か関係あんの?」



え…

今、退学って。



「退学したんですか!?」


「あ、ああ。」


「何でですか?理由は?」



立っていた俺は、昴先輩の話を聞くためにその場に座った。



「理由は知らねえけど…。今日、学園長から聞いた。」



昴先輩は部長でもあり、生徒会長でもあるんだ。


凄いよな。

完璧だよ、昴先輩って。


勉強も出来て

運動も出来て

生徒をまとめられて

皆から信頼されてて

優しくて、紳士的で

背も高くて

格好よくて………













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