愛しいキミへ
試合が終わり、二年の先輩たちが暗い顔をして、私達の方へ歩いてきた。
「オツカレっ」
要先輩が、いつものように笑顔で言う。
でも、先輩たちの表情は変わらず……
「悔しいっすね、一年に負けるって。」
「隼人は、期待の新人って所か…」
「今回のレギュラー、一年に持ってかれそうだな。」
先輩たちは、口々に言う。
きっと、泣きたいぐらい悔しいと思う。
渚がいた頃の二年生たちは、三年の先輩たちと互角に戦えるほどだった。
渚を中心に、全員のチームワークは抜群だった。
でも、渚が変わってしまった。
一瞬にして……
たしか、私と別れた頃。
昔の渚は、皆から親しまれる存在だったのに。
優しくて、カッコ良くて、
私は、そんな渚に一目惚れをした。
渚から告白された時、凄く嬉しかった。
その場で泣いてしまうほど……
けど、付き合っている間。
おかしな事がたくさんあった。
渚から、覚えのない香水の匂いがしたり。
家に、女の人の髪の毛が落ちてたり。
だんだん信じられなくなって、いろんな事を疑い始めた。
そして、見てしまった。
浮気現場を……