愛しいキミへ



「じゃあ…自己紹介でもパパッとしてくれ。」



何だよ!!そのフリ…



「は、はい。…と、橘 隼斗です。皆さん。半年間ぐらいだけどヨロシク? ニコッ」


顔を真っ赤に染める女達。
別に興味ないから、嬉しくもなんともない。


ちなみに俺が転校してきたのは、夏休み明けの9月半ばごろ。

この学園は1年ごとのクラス替えがあるから、このクラスにいるのもあと半年間ぐらい。



「じゃあ、橘の席は…と。どこが空いてるんだ?」


「私の左隣り空いてますよ??」


「おお!橘、窓際から二番目の一番後ろにいってくれ。」


「はい。」



一番後ろ…か。
まあ、周りから囲まれないからいっか。

席についた俺は、左隣りの女に声を掛けられた。



「橘くーん、仲良くしてね?」



甘ったるい声を聞いて、話しかけてくる女に苛立ちを覚えた。

逆を向いていたら、さっき八重に空いてると言った女が、ニコニコして見てくるし。

挨拶ぐらいしとくか。
仕方ねえ……



「ねえ、橘くーん。こっち向いてよお~」


「ヨロシク☆……て。はっ??」



左を向いて、驚いた。

だってそこに座ってたのは、ニコニコしながら頬杖をついて、こっちを見てる椎凪だったから。



「何??私の演技、そんなに上手かった??」



椎凪はまだニコニコして、見ている。



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