愛しいキミへ



マットから降ろされて、急に抱き締められた。



「渚…」


「裏切らない、絶対…裏切らない。だから、やり直さないか??」


「渚…渚…渚…」


「椎、俺の物になって…」



渚は、私をさっきよりも強い力で抱き締めた。

その時、ガタンッと音がした。



「えっ!?」



私は驚いて、渚から離れた。


そこにいたのは、隼斗だった。



「は、やと??」


「悪いっ、様子を見にきたら…。どうぞ続けてください。」



隼斗はそれだけ言って、立ち去った。



「隼斗っ!!」


「椎…ほっとけよ。見られて困る事じゃないだろ?」


「困るよ。変な噂流されるかも、しれないじゃん。」


「おい…それ、どういう意味だよ。」


「そのまんまの意味だよ。私にはもう…渚は必要ない。気持ちは嬉しいけど、一度裏切られた人は信じられない…。」



< 56 / 114 >

この作品をシェア

pagetop