人はそれを恋と呼ぶ
「店番!?嫌だよ!今日は貴兄ちゃんが出番だもん。あたし、店番するとロクな事ないんだもん」
あたしは首を振る。
お店に出ると、お客さんに絡まれちゃったり、待ち伏せされたりするし、出来るだけしないようにしてる。
「あー大丈夫だよ!これ貸してあげる」
舞はニコニコしながら、黒ぶち眼鏡をあたしによこした。
あたしが渋ってると、お母さんの声が聞こえた。
「由紀ー!悪いけど、店番お願い!」
そうして。
久しぶりに舞と二人で店番することになったあたしは、エアコンの効いた店内でため息をついた。
黒ぶち眼鏡は、あたしの顔を地味にしてくれるようで、いつもみたいに視線を感じる事はなかったけど。