人はそれを恋と呼ぶ


「……え?」


思わず声が出た。


聞き間違いじゃなければ、あたしの耳が正常ならば…


今の…今の声…。


‘彼’の声だ…!



あたしの足は考える暇もなくお店に走っていた。


「わっ由紀が出てきた。どしたの?考え直して手伝ってくれるの?」


「舞!ごめん!それどころじゃないの!」


舞を乱暴に押しのけてお店の中を見渡す。


そう広くない店内。


さっきの集団らしき男の子達はばらばらに散らばっていて、相変わらずふざけたりして楽しそうに笑っていた。


この中に、彼がいるかも知れない。


誰かわからないけど、彼がいるかもしれないんだ。


< 110 / 165 >

この作品をシェア

pagetop