人はそれを恋と呼ぶ
「……え?」
思わず声が出た。
聞き間違いじゃなければ、あたしの耳が正常ならば…
今の…今の声…。
‘彼’の声だ…!
あたしの足は考える暇もなくお店に走っていた。
「わっ由紀が出てきた。どしたの?考え直して手伝ってくれるの?」
「舞!ごめん!それどころじゃないの!」
舞を乱暴に押しのけてお店の中を見渡す。
そう広くない店内。
さっきの集団らしき男の子達はばらばらに散らばっていて、相変わらずふざけたりして楽しそうに笑っていた。
この中に、彼がいるかも知れない。
誰かわからないけど、彼がいるかもしれないんだ。