人はそれを恋と呼ぶ


ざわざわした店内の一人一人に目をこらした。


違う。あの人じゃない。じゃあこっち?


顔はわからないから、喋ってる声を頼りに消去法を取るしかない。


知らない女が自分達をじろじろ見てる事を悟られないように、お店の商品を整理してる店員を装った。



確かに聞こえた。


でも、見た限りでは彼らしき人を見つけられなくて、あたしは焦る。


彼とどうこうなりたいわけじゃない。


でも、彼の顔を見ることなんてそうないと思ったら、このチャンスを逃してなるものかと。


名前はわかんなくても、顔くらいは見たいって真剣に思ったんだ。


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