人はそれを恋と呼ぶ
それからしばらく、あたしの頭の中は彼の事が占めていた。
あれから、しばらくゆーちゃんは来てくれなくて。心配だった。
夏風邪でもひいたのかな…とか、やっぱり家は遠いのかな…とか。
考える事は彼のことばかり。
「…お前も、寂しい…?」
夕暮れ、隣家の庭に勝手に入り、犬の頭を撫でながら呟いた。
「会いたいね…」
きっと、ゆーちゃんはこんな風に自分を想ってる女がいるなんて知らなくて。
馬鹿みたいに声だけの彼に恋をした、あたしの存在さえ知らなくて。
…これが恋なの?
こんな風に、何もできない自分が大嫌いなのに…
あたしには彼に話しかける勇気さえ、ない。