人はそれを恋と呼ぶ


「え…?」


修兄ちゃんはすまなそうな顔をして続けた。


「前から思ってたんだ…。引き取りたいって。ポチがいつも構ってもらえてないのはわかってたし…それに」


ポチの頭を撫でながら、淋しそうに呟く。


「コイツだってもう歳だろ?後どれだけ生きられるか分からない。主人として、ちゃんと看取りたいとずっと思ってた」


あたしは、やっぱり修兄ちゃんは優しいなって思う一方で、ひとつの事実が頭を占領していく。


「だから…ごめんな、由紀」


修兄ちゃんの声が遠く聞こえる。



ポチがいなくなれば、彼がここに来る理由は、


ない。

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