人はそれを恋と呼ぶ
・想う力
「ゆーちゃん…どうして来ないの…?」
もう泣きそうだった。
修兄ちゃんが帰る前日になってもゆーちゃんは来なかったから。
「由紀ー?悪いんだけど、30分でいいから店番お願い!」
そうお母さんに頼まれて、仕方なく部屋を後にした。
お母さんが戻って来るまでの時間が途方もなく長く感じて、
上の空でレジに立っていたから、お釣りを3回も間違えた。
今、来てたらどうしよう。
部屋に戻った時、もう帰ってしまった後だったら…?
「由紀、泣きそうな顔すんのやめろ」
目の前に立ちはだかるのは、明らかに不機嫌なオーラを漂わせた…貴兄ちゃん。