人はそれを恋と呼ぶ
「…すいませんでした。いつも勝手に餌なんかやって…」
開けっ放しの窓から聞こえる久しぶりに聞く声。
ドキドキしながら、窓際の壁に背中をつけてうずくまる。
まだ少しだけ明るい空を見て、あたしには外を覗く勇気はなかったから。
外の気配に耳を澄ませる。
最後かも知れない彼の声を。
こんなにもあたしの胸に響く、彼の優しい声を聞き逃さないように。
「そうですか…もう、明日にはいなくなっちゃうんだな…じーさん…。いや、ポチだっけ」
「はは、確かにコイツじじぃだからなー。じーさんでいーよ」